ロータリーエンジン研究所・REAL-TECHのRE的ブログ

茨城県下妻市にあるロータリーエンジン専門店『REAL-TECH』(リアルテック)のロータリーエンジンに特化したRE的ブログです。 RX-7・RX-8など、マツダ・ロータリーエンジン搭載車のメンテナンスやチューニング、セッティングが本業ですが、代表のハマグチは、『ロータリーエンジン研究家』としても活動しており、ロータリーエンジンの過去・現在・未来について日々研究しており、各媒体にRE関連記事の寄稿もしています。 また、RX-7やRX-8のデモカーを用いてロータリーエンジンの高効率の追求も行っており、REのパフォーマンスを高めるためのパーツ・専用オイルなども製作しています。 このブログでは、日々のリアルテックでの作業や、ロータリーエンジンやRX-7・RX-8などのRE車のウンチクも書いてます。

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カテゴリ: RX-8関連

毎年暑い季節がくると、水温が100℃以上上がってしまってオーバーヒートしてしまった、渋滞で水温がまったく下がらない、エアコンも効かない、というお問い合わせが増えます。
大体の原因は、ラジエータ電動ファンモーターの不良です。
特に多いのが、RX-8の前期モデル。
左右あるファンモーターが不調で回っていても回転不足や、モーターが完全に壊れてファンがまったく動いてないため、ラジエータが冷やされず水温が上昇してしまう感じです。
運転席側RH・助手席側LHのどちらかが壊れやすいことはなく、どちらも同じくらいの割合で壊れますね。
ここ10年くらいの傾向からすると、一番モーター故障が多かった時よりは、徐々に件数が少なくなってる感じはしますが、壊れている車両は毎年いらっしゃいます。
RX-8前期も一番新しくても16年は経ってますから壊れてしまうことは仕方ありません。
(RX-8後期はそれほど壊れるイメージはないかな。)


さて、現在そのRX-8前期用のラジエータ電動ファンモーター(運転席側)がメーカー補修品が生産終了になってしまっており、ファンモーターが壊れると純正パーツでの修理の手がない状況です。

まずは、ここ最近のRX-8前期用ファンモーターのパーツ供給事情を時系列で説明しましょう。

1.数年前に運転席側ファンモーター(品名:ファンドライブRH)が生産終了。助手席側ファンモーター(ファンドライブLH)は生産継続

2.ファンドライブRH単品の代替品として、モーター単品供給から、左右ファンドライブ(モーター)・ファンシュラウド・左右ファンを組み立てた状態のアッセンブリー品(品名:エレクトリックファン 下の画像の状態)の供給に切り替え。この時、それまでのエレクトリックファンの品番が変わり、ファンドライブRHはファンドライブLHと同じモーターに変更されて、結果RHのサイズアップになる。(HIGH側での回転数アップ)
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3.上記画像のアッセンブリー品の新型エレクトリックファンが2023年夏~初秋ごろを最後に在庫切れ→そのまま生産終了になる。

4.その後1年ほど経過した現在、生産終了のままパーツ供給がなくなり、ファンドライブRHが壊れると純正補修パーツでの修理の手が無し。

という状況です。

なぜパーツ供給が止まったかの理由はここには書きませんが、いろんな諸事情が重なっているとのことです。
また、然るルートからパーツ供給再開をお願いしまして、パーツ生産再開の方向で動いていただいています。ありがたいことです。


去年エレクトリックファンASSYがなくなった段階では、その後冬になることもあって気温も下がる方向だったので、渋滞でも水温が危機的なところまで上がらずで、とりあえずそのままエレクトリックファンの生産再開になるのを待ってみようという感じでしたが、
生産再開されないまま夏を迎え、いよいよオーバーヒートしてしまうRX-8が増え、うちにもユーザーさんや同業ショップさんなどからお問い合わせが増えました。


このまま、部品が出るまで乗らないでくださいとも言いづらいし、かといってただ待っていても仕方ないので、どのように治せるかリサーチしてみました。


先に結論からいうと、生産終了になっているRX-8ファンドライブRHと、NBロードスターのファンドライブLHが諸々の形状が同じであることが分かりました。

早速NBロードスター用ファンドライブを取り寄せて、RX-8ファンドライブと比べてみました。
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各寸法的には、一番肝心なファンシュラウドに取り付け部のねじ穴PCDはピッタリ同じ。
モーター外寸も高さ、ファンの取り付け穴径・ねじピッチなど寸法もまったく同じで、実際にファンを取り付けた時のファンの位置高さも同じでOK。
しいて違いがあるとすれば、RX-8のファン取り付け部にツバがついているくらい。ただ取り付けには関係なさそう。

そして、肝心のモーター回転数もテスト配線を作って測定しました。
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ちなみに、RX-8前期のファン制御は、LOW側では、電源+ → ファンドライブLH → ファンドライブRH→ 電源- と二つのモーターを直列つなぎになります。
HIGH側では、ファンドライブRH、LHそれぞれ独立で電源につながります。

RX-8ノーマル LOW側 約1330~1390rpm、HIGH側2070~2100rpm
NBロードスター LOW側 1335rpm、 HIGH側2017rpm
でした。
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ちょっとNBロドの方が低い感じですが、これまでRX-8のファンモーターを何回も測定してきた傾向からするとこのくらいは誤差範囲。
LOW側1300rpm以上、HIGH側2000rpm以上回ってれば問題なし・OKです。

ということで、NBロドのファンドライブがボルトオンでRX-8のRHモーターとして使えるという結論です。

ただ一番の違いは、モーターケースのシーリング。
RX-8の方は、モーターケースカシメ部分全体にシーリングしてありますが、NBロドはカプラー廻りのみ。
そして、NBロドの方には水抜きの穴らしきものがあります。
ロードスターには詳しくないのでたぶんですが、NBロドはファンが直角に付きカプラーが上向きになるのでそのようになっているのでしょう。
これならシーリングをRX-8用と同じようにしてあげれば問題なさそう。

ということで、シール剤でこのようにシーリングしてみました。
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ちょうどファンモーター不調の修理でご予約いただいて長くお待ちいただいていたユーザーさんに早速取り付けてみました。
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取付後は、水温も適温でばっちり安定し、エアコンもよく効くようになりました。
ということで、純正のエレクトリックファンが再生産になるまでは、NB用流用シーリング追加でやっていこうかと思います。

ただし、純正パーツの流用とはいえ、設計の違う車両に取り付けますので、RX-8に使用したときの耐久性に関しては全く確認してませんので、流用する場合は自己責任でお願いします。
今回のユーザーさんにも、流用のリスクを十分に理解していただいたうえで作業しています。
もし、そのようなリスクを取りたくない場合は、マツダがエレクトリックファンASSYを再生産するまでお待ちください。

また、今回ヤフ〇クで売っていたRX-8用純正同等社外品も取り寄せて測定しました。
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作り的にはRX-8用というよりもNBロド用に計上がまったく同じで、防水シーリングは一切なし、また、カプラーの差し込みが非常に硬く、差し込みに注意が必要です。
値段が安い分(NBロドの1/3くらい)精度が落ちる感じ。
モーター回転数的には、LOW側1270rpmで、RX-8やNBロド純正よりも60~100rpmほど低く、HIGH側は2080rpmとほぼ同じ。
ただ、LOW側が低くても、直列でつながっているLH側を測ると1000rpmで回っており、ノーマルモーターより50~100rpmくらい回転数が高いので、2個同時に回っている限りは冷却能力的にも問題なさそう。
しかし、モノがモノだけに安いなりのリスクもあるかなと思いますので、コスト重視でない限りは純正品から選んでもらった方が賢明でしょう。

昨日は2023年最後のタイヤホカホカサービスでした。
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タイム的には、ベストのコンマ1秒落ちでベスト更新ならず。分切りは来年に持ち越しです。
他のリアルテック勢も分切りまであと少しだったり、ちょっとトラブルが出たり。
みんな切り替えて、来年頑張ろうぜ!

ただ、BAR11号はエンジンの吸入空気量が281g/sも出まして、これはベスト更新。
280g/s超えるはこれが初!
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エンジンは調子よしで2023年を締めくくれました。


本日は定休日ですが、昨日できなかったオイル発送を行いまして、年内のリアルテック営業は終了です。
今年一年ありがとうございました。

今年も全国各地の多くのロータリー乗りからたくさんオイルをお買い上げいただきました。
作業予約をたくさんいただきまして、今も多くの方に作業をお待ちいただいている状況で大変ご迷惑おかけしております。
順番に作業を進めておりますので、もうしばらくお待ちください。

さらに、2023年はロータリーエンジン新時代の幕開け。
リアルテックも年末にようやくMX-30 Rotary-EV と 8Cロータリーエンジンを迎えました。
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2024年もMX-30R-EV・8Cの勉強や研究も進めてまいります。

皆様、2024年もよろしくお願いします。

明日は年内営業最終日ですが、朝からタイヤサポートで早朝から筑波サーキットです。
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タイヤサポートも2023年ラスト。
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タイヤホカホカサポートしているBAR11号は、11月のシェイクダウンから12月中も精力的にタイムアタックしておりますが、ベストタイムは更新しつつも、目標である筑波分切りは未達成。
ここから分切りまであとコンマ数秒が一番長くかかるんですよね。

誰しも筑波分切りって簡単じゃないよね。
後期ならではの重量ハンデもあるし。

明日はどうなるでしょうか。
頑張ります。

なお、リアルテックの年末年始は、12月27日~1月5日までお休みいただきます。
オイル通販の年内出荷は、明日26日入金確認分まで、出荷は27日になります。
2024年年明け出荷開始は1月6日からになります。

長い時間かかってしまいましたが、RX-8後期スピリットRで筑波分切りを目指すBAR11号がようやく完成しました。

作業は、サイドポート拡大エンジン、ミッション、LSD仕様変更などドライブトレインすべてにダンパーOH、その他諸々やりました。
昨シーズンから全体にわたる大幅変更でしたので、手を入れた箇所も多いためチェックも入念に時間をかけて行いました。

そして、納車後そのまま筑波サーキットにてシェイクダウン走行。
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一緒にうちの新サポートカーもシェイクダウンです笑。
走行まで時間もないので、タイヤは天日ウォーマー。

20分2本走行して、各部動作に問題ないか、漏れがないか、コンピュータセッティングの確認もしてきました。
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この日は、この時期のわりに非常に暑いのでチェック走行にはもってこい。

結果、すべて問題なし。

コンピュータセッティングは、セッティング用につけたモニターをGoproで撮り、走行時の動画を全部確認しましたが、気温23~24度くらいの部分は事前のセッティング時と変わらず全く問題なくOK。
次回気温が下がったところでさらにセッティング確認して、修正点があれば現地修正していきます。

しかし、走行中のエンジンデータを見続けちゃうと、パーシャル領域とかもっとガンガン突きつめたいとか思っちゃうけど、純正コンピュータだと合わせ込むのに手間がかかりすぎて非常に大変なので、まずは全開領域をきっちり合わせましょう。

ダンパーは製作から8年ぶりにOHしましたが、かなり良くなりました。もっと早くやっておけばよかったかしら。
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LSDの仕様も問題なく、安心しました。
そうそう、今回デフマウントをスーパーナウさんの軽量タイプのテスト品を付けました。
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これまでのウレタンのものより軽い!

さらに、今回初のHDP放熱&断熱コーティングもエアグルーヴ(断熱)とラジエータ(放熱)に行いましたが、かなり効果あり。
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この車両はエアコンレスとはいえ、気温23度で走行中は水温84~86℃くらいで安定、ピークは一瞬89℃まで上がったくらいで、アクセルを緩めればすぐに81℃まで落ちるという冷えよう。すごい。
これならラジエータ電動ファンも作動せず、電気負荷もかからず走れます。
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エアフロで測る吸気温度もコース上に出てしまえば外気温と全く一緒の23℃でピットインまで上がらず常時走れるという安定感。
素晴らしい。
HDPコーティングも今後テスト検証を続けていきます。

とりあえず一安心。

これでお待ちいただいているご予約作業を順に進めていきます。

BAR11号の12月走行に向けて急ピッチでエンジンとそのほかの作業を進めております。

OHしたてのエンジンと新品ミッションの慣らしもこちらの都合により自分が一気に行い、3日で終わらせました。
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慣らし用に追加メーターを簡易的に取付。
このお安いOBDメーターも、有名メーカーのものにはない排気温度とエンジン運転時間の表示が出るので結構便利です。
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画像からエンジン吸気温度と外気温との差が少ない感じです。
それは、
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HDP断熱コーティングしたエアグルーヴを付けたからかな。
カーボンの蓋は社外のカーボンボンネットのダクトカバーにこすれて傷だらけだったので、カーボン地のほうを塗ってます。
こちらのコーティングの検証はこれからですが、今のところ街乗りとアイドリング状態ではコーティングなしより吸気温度は安定して低い感じなので効果は出てますね。

エンジン慣らしから戻ってきてからは、お預かりFDのフルピロ作業を進めつつ、デスクワーク。
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たくさんオーダーをいただいているオイルも出来るだけ早くお届けするため、出荷作業も欠かさず行っております。

毎日早朝から夜まで休みなくやってます。
完全に一人ブラックなリアルテックです。苦笑


といいつつ、明日3日午後から5日日曜日まで出張のため、店営業とオイル出荷はお休みとなります。
メールの返信も時間かかりますので、ご了承ください。

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