ロータリーエンジン研究所・REAL-TECHのRE的ブログ

茨城県下妻市にあるロータリーエンジン専門店『REAL-TECH』(リアルテック)のロータリーエンジンに特化したRE的ブログです。 RX-7・RX-8など、マツダ・ロータリーエンジン搭載車のメンテナンスやチューニング、セッティングが本業ですが、代表のハマグチは、『ロータリーエンジン研究家』としても活動しており、ロータリーエンジンの過去・現在・未来について日々研究しており、各媒体にRE関連記事の寄稿もしています。 また、RX-7やRX-8のデモカーを用いてロータリーエンジンの高効率の追求も行っており、REのパフォーマンスを高めるためのパーツ・専用オイルなども製作しています。 このブログでは、日々のリアルテックでの作業や、ロータリーエンジンやRX-7・RX-8などのRE車のウンチクも書いてます。

RTオイルをご検討の方はこちらをお読みください

よく聞かれる おすすめのRTオイル
http://realtech.livedoor.blog/archives/6537489.html

エンジンオイル交換時のオイル使用量
http://realtech.livedoor.blog/archives/16377797.html

カテゴリ: RE的研究

ツイッターの方でコイルについてつぶやいたら質問を何件かもらったので、去年8月にコイルについて書いたブログに追記・アップデートしてアップします。
↓↓↓


お預かりのRX-8は、作業ついでに付いているイグニッションコイルの品番をみたら、今となっては珍しい末尾アルファベットなしの初期型コイルでした。
20200807_093840

走行距離が少ないとはいえ、よく今まで持ったもんです。笑
まだ普通に火は飛んでますが、コイルは消耗品ですので壊れる前にイグニッションコイル全交換。
20200807_093852

現行イグニッションコイルは、品番末尾がCです。
20200807_094005

ちなみに、末尾なしは2003~2006年途中まで、
末尾Aは2006~2007年終わりくらい、
末尾Bは2007年終わりから2011年くらいまで、
末尾CはスピリットRが出るちょっと前くらいから、
だいたいこんな感じです。

バージョンが新しくなるたびに耐熱性が上がってるようです。

バージョンによってコイルの壊れ方が違ったんですよね。
末尾なしとAは、壊れた時にチェックランプが点きますので分かりやすいんですが、
末尾Bは非常にタチが悪く(笑)、コイルが壊れて火が飛んでないのにチェックランプが点きません。
(末尾Aはチェックランプが付いてもタイミングライトでみると、火はちゃんと飛んでたりします。)
※このチェックランプは前期の話しね。後期はコイル単体のエラーコードは無くなり、そのかわりミスファイヤーのエラーコードになりました

そして、現行型・末尾Cはそれまでの壊れやすさがまったく無くなり、ほとんど壊れなくなりました。

遮熱テープを貼ったり、移設したりなどのコイルの熱対策なんてまったく要らないレベルです。
リアルテックではデモカーもユーザーカーも熱対策はまったくしていませんが、真夏でも関係なくサーキットを年中ガンガンに走ろうが、街乗りで渋滞にハマリまくろうが、ここ10年、うちでは末尾Cコイルが壊れた記憶がありません。


以下は、リアルテック・ハマグチの持論です
------------------------
コイル移設はたしかにコイル周辺の雰囲気温度低下にはなりますが、プラグコードを長くするデメリット(電圧降下による不安定な点火や、コードのつなぎ間違えなどのヒューマンエラーの誘発など)を考えるほうが非常に重要だと思います。
ウチで点検したコイル移設のRX-8では、LとTでコードを繋ぎ間違えていたりもありましたし、エンジン圧縮圧力も走行距離の割りに低かったりってのがかなり多いです。
なぜ現在自動車メーカー各社がプラグコードレスでエンジン上部にコイルを付けるダイレクトイグニッションを積極的に採用したり、RX-8があのコイル位置にしてまで出来るだけプラグコードを短くしたのか考えてみるといいかもしれません。
-----------------------


ただし、イグニッションコイルが絶対に壊れないというわけではありませんし(原因として、長期間の使いすぎのほか、スパークプラグやコードの劣化、汚れ、断線などがあります。要はプラグに電気が流れづらい状態が良くない)、徐々に劣化もしていきます。
また点火系が壊れた時の被害(カーボン発生によるエンジン・コンプレッションの落ち込みや、異常燃焼の誘発など)は、エンジンに影響が大きいので、壊れる前の定期的な点火系パーツの交換はエンジンの調子を良い状態で持続させるのに重要なことかと思います。


ちなみに、コイルの裏が白くなっているのは、エンジンの熱害だ!とか言う人がいるみたいですが、まったくのデタラメです。
20210424_183228

どうみても外側から受けた熱でなく、内側からの熱です。
ちょうどそこの中に2次コイルがあり、高電圧により熱を持つからでしょう。
なぜ2次コイルに過度に熱を持つかといわれれば、コイルの使用走行距離の長さもそうですが、先にも書いたように、プラグが劣化してるなどで電気が正しく流れづらくなるから。

多少白くなっているイコール壊れているかって言われれば、それはイコールでは有りません。
ちゃんと作動しているのがほとんどです。(コイルを単体性能テストするコイルベンチで確認しました)
劣化しているとか、痛んでいるレベルと言っていいと思います。
コイル裏が大きく白くなってたら、ああよく使ったな、プラグやプラグコードも痛んでるかな?と思って、すべてを交換するのが間違いないです。
ただ、この白くなるのも末尾Cコイルでかなり改善されているように思います。

あ、そうそう、RX-8の場合、プラグが1本くらい飛んでなくても普通の人は気付きません。苦笑
簡易的な判断として、
・燃費がいつもより劇的に落ちる。
・エンジン始動でセル廻してもエンジンが掛かるまでちょっと長い。
・始動時にブブ、ボーンと一旦息継ぎみたいに掛かる。
といったところが分かりやすいところでしょうか。


さて、リアルテックオススメの点火系パーツとベスト交換サイクルを記します。

ストリート派
↓↓↓
・スパークプラグ  2万キロ  NGK ノーマル(7番、9番) ※MSVでも7・9番がよいです。
・イグニッションコイル  5~6万キロ  必ず純正コイル、
・プラグコード  コイルと同時(5~6万キロ) もしくはキャップ部端子がゆるくなったら NGKノーマルタイプorパワーケーブル

サーキット派
↓↓↓
・スパークプラグ  1万キロ (ただし、連続周回が多い場合はアタックシーズン前には必ず外し電極を点検)
  タイムアタック派でパワー重視 NGK 7番・9番、
  たまにサーキットに行くと一日中連続でずっと走っちゃう人 NGK 8番・9番、
  毎週のようにサーキット行ってずっと走っている人 NGKレーシング 9番・10番 
・イグニッションコイル 3万キロ 必ず純正コイル、
・プラグコード  コイルと同時交換 NGKノーマルタイプ or パワーケーブル

何はともあれ、コイルに末尾C以外が付いている場合は、とりあえず早めに交換してください。

プラグとプラグコードはNGK製、イグニッションコイルは純正がベストチョイスです。
純正コイル(1個約5500円)より安い社外品コイルは色んな理由でおススメしません。(あえて書きません)
必ず純正コイルを使いましょう。
純正プラグコードは、キャップ部分のゴム劣化により端子内部に水分が入りやすく、そうすると錆が発生してしまうため、シリコンキャップのNGKコードが良いです。

最後に、点火の良し悪しは、ロータリーエンジンの寿命に大きく関わります。
いくらいいオイルを入れていても点火が悪ければ、まったくエンジン圧縮が戻らないこともよくあります。
しっかりした部品のチョイスと交換サイクルで、ロータリーエンジンを長く楽しみましょう!

納車もすべて完了して作業も落ち着いたところで、ロータリーエンジンについて調べもの。

ちょっとうろ覚えなRX-7のアメリカ仕様エンジンについてちょっと気になってしまって、確認のため資料を引っ張り出してみました。
20200314_184112
USA仕様については日本での資料はほとんどなく、アメリカ発行の書籍から捜すしかありません。
なので、全部英語です笑。
おかげで気になったところもすっきりクリアになったし、それ以外に新たな発見もありました。
エンジンの構成が分かりやすい良い写真があって、こんな仕様になってたのか!とかね。

今回、一番欲しい情報がピンポイントで書いてあったのが、僕が尊敬してやまない自動車ジャーナリストの重鎮・山口京一さんの著書であるRX-7開発ヒストリーブックでした。
20200314_184435

欲しい所が唯一写真で載ってました。
日本語訳本付きですから読み易いですしね。
ちなみに、FC、FD、RX-8とそれぞれ山口さん著書の開発ヒストリーブックがあります。
それも写真もデータも貴重なものばかりで、ロータリーファンなら必ずすべて読んだほうがいいと思います。

そして、これは昔レーシングビート社長・奥さんから、『これ読んでしっかり勉強してな~』と言われて頂いたRX-7チューニングブック。
20200314_184519
大切にしてます。
あんまり日本では見かけない本ですね。

ロータリーエンジン研究にはどれも欠かすことの出来ない大切な書籍です!


最後に~、
20200314_184639
日本には無いFCのNAエンジン、前期と後期、両方補機付きで欲しいな~。
もし譲ってもいいよ!って人がいたらリアルテックまでご連絡ください!

今日は一日デスクワーク。
見積りなど作ってましたが、ちょうど飽きてきた時(笑)にたまたま特許を調べてみたら、マツダが申請したロータリーエンジンの新しい特許が公開されてました。
ワォ!!!

速攻ダウンロードして、いつものように読みやすいように全ページ印刷。

今回は、三角形のローターの燃焼室部分となる、ローターリセスに関するものです。
リセスの容積は、ロータリーエンジンの圧縮比設定にもかかわる部分であるとともに、燃焼コントロールに非常に大事な部分です。
20200128_145848
歴代、特に70年代にはいろんなリセス形状が有りましたが、近年(?)インジェクションモデルになってからはMDRといってローターのちょうど真ん中に長方形なリセス形状になってました。
20200128_183144
この縦横の幅・深さで圧縮比が決まります。
掲載されている図からすると、今回はかなり複雑な形状になってますね~。
また、2ローターな全体図もあるので、発電用のレンジエクステンダーでなく、動力RE・SKYACTIV-Rに関するモノっぽいですね!(燃費にも関係するところですからレンジエクステンダーにも転用できるのかな?)
20200128_174622
まだざっとしか読んでないけど、いつもより難しい話しっぽいで、じっくり読み込まないと理解できないかも。

数年前の技報でリセス関連の報告が有りましたが、そのときとも形状が違う感じで、マツダでは日々RE開発を進めている様子です。
ただ、特許は申請から公開まで1年半かかりますので、実際には2018年7月ごろの内容になります。
なので、今ごろはどのようになっているか分かりませんし、特許のまま出るわけではありませんが、REファンなら胸躍りますね。

さらに、この特許申請日の2018年7月17日は、ちょうどマツダ本社に行ってR26Bの取材をした日でした!
その際には、RE開発リーダーの清水さんにお話し伺ったんですよね。(もちろんお話の内容はR26Bのことですが)
超偶然。
20200128_142932

REファンのみなさん、期待して待ちましょう!

RX-・8前期の初期オイルレベルゲージのよくあるあるネタ。

前期のオイルゲージは3種類あります。
20180402_184050

最初が太くて(左)、その次が細くて黒く(真ん中)、最後が細くてシルバー(右)。
20180402_184109


で、初期型の太いレベルゲージは、オイル交換の際に外すと、ゲージがぐにゃっと曲がっているのが本当に多い。

20191221_100121

ゲージを抜き時にまっすぐ上に抜かず、手の入りやすい斜めから無理やり抜いちゃうからこうなります。
あと、エンジンカバーを付けたまま抜いたりしてもなりやすいです。

この曲がった状態でエンジンに挿し戻すとなかなか入らず、ゲージを回しながら位置があうとやっと入る感じ。

これじゃちゃんとオイルの量は計れないし、なによりイライラするので、できるだけまっすぐになるように指で押し曲げて直してます。
20191221_100332

レベルゲージが途中から細く多少しなるタイプになったのは、曲げやすいという理由からでしょうかね。

オイルレベルゲージは上からまっすぐ引き抜くようにしましょう。

今日もマニアネタ。
今回は、RX-7(FD3S)最後の限定車、スピリットR について。

rxs02_007s
(画像:マツダ㈱より)


先日あるところでスピリットRの話しをしててちょっと気になってしまい、当時の生産状況を調べてみました。
せっかく調べたんでちょっと書いてみようかと。

スピリットRの意外な事実もありましたが、詳しく書きすぎると物議を醸す可能性があるのでそこは省きます。笑


FD3S・スピリットRは、1500台限定で販売され、2002年4月9日から2002年8月26日まで生産されました。
最終日にはFD3Sラインオフセレモニーがファンを招いて行われたのは有名ですね。
その1台1台に専用のシリアル入りプレートが貼り付けられていました。

スピリットR内のグレードは3種類、タイプAが2シーター、タイプBが4シーター革シート、タイプCが4シーターのAT でした。

ここからは、RE研究家ハマグチ独自調べです。

・3グレードの比率は、
タイプA:69.4%、
タイプB:28.0%、
タイプC:2.6%

→スピリットRの約7割が2シーターのタイプAです。やっぱり人気ですね。
そのかわり、ATのタイプCが圧倒的に少ない。ほとんど見ないのはほとんど生産されてないからですね。

・カラー比率は、各グレードそれぞれでほとんど変わらずなので、3グレードトータルでのカラー比率は、
20P イノセントブルーマイカ 14.5%
25G チタニウムグレーマイカ 48%
A3D ピュアホワイト 21%
A3F ブリリアントブラック 11.5%
NU ヴィンテージレッド 5%
 
→スピリットRの半数がイメージカラーのチタニウムグレーでした。やっぱりカッコイイもんね。
5型で爆発ヒットしたカラーのイノセントブルーマイカより、ピュアホワイトの方が1.5倍くらい多いのは意外。
6型登場時のカタログでトップを飾っていたヴィンテージレッドが圧倒的に少ないのも意外ですが、確かに赤のスピリットR見ないですよね~。

その数字上レアな、スピリットRタイプC・ヴィンテージレッドは、なんと生産1台のみ。

その『スピリットRタイプC・ヴィンテージレッド』をお持ちのそこのあなた!
そのスピリットRは世界で正真正銘1台のみです。

是非リアルテックまでご連絡ください。笑
(生存しているといいなあ~)

あと車体番号とシリアル番号の整合性を調べているので、スピリットRお乗りの方、宜しければあなたの車体番号とシリアル番号をこっそり教えていただけると嬉しいです!

↑このページのトップヘ