ロータリーエンジン研究所・REAL-TECHのRE的ブログ

茨城県下妻市にあるロータリーエンジン専門店『REAL-TECH』(リアルテック)のロータリーエンジンに特化したRE的ブログです。 RX-7・RX-8など、マツダ・ロータリーエンジン搭載車のメンテナンスやチューニング、セッティングが本業ですが、代表のハマグチは、『ロータリーエンジン研究家』としても活動しており、ロータリーエンジンの過去・現在・未来について日々研究しており、各媒体にRE関連記事の寄稿もしています。 また、RX-7やRX-8のデモカーを用いてロータリーエンジンの高効率の追求も行っており、REのパフォーマンスを高めるためのパーツ・専用オイルなども製作しています。 このブログでは、日々のリアルテックでの作業や、ロータリーエンジンやRX-7・RX-8などのRE車のウンチクも書いてます。

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よく聞かれる おすすめのRTオイル
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エンジンオイル交換時のオイル使用量
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カテゴリ: RX-8関連

RX-8筑波分切り用エンジンは、新品ハウジングが色々あって全部揃うのに時間が掛かってました。
モノが揃った後も、他の方の作業の兼ね合いも有りなかなか作業が進まず、ようやくサイドポート拡大加工ができました。
ポートだけでなく、インマニも一緒に仕上げてます。

気温30度オーバーの中で、ポート加工はしびれます。

削り粉が舞わないように、奥でこもって加工してますが、作業は熱中症にならないように休憩多め。
さらに仕上げにこだわりすぎて、いつもより時間が掛かってしまいました。
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これで、いよいよエンジン組み立てです。


 

RX-8後期のオイル交換でよく、オイルパンのドレンプラグを純正のものから一般的なドレンボルトに交換しているのを見かけます。下の画像
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ちなみに、左が純正ドレンプラグ、右が付け替えられてる一般的な形状のドレンプラグ↓↓
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単刀直入に書きます。

このようにドレンプラグが下に突き出した状態で走行するのは危険ですので、純正ドレンプラグを使いましょう。


RX-8は後期になってオイルパンが2ピース化して大型化、ドレンプラグが真下に付くようになりました。
純正ではオイルパンアンダーカバーがつきますが、オイル交換用サービスホールが開いているのでドレンプラグ丸出しです。
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ドレンプラグが長いとこのアンダーカバーの高さに近くなる、すなわち地面に近くなります。
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分かりやすいようにアンダーカバーは外してますが、
画像からもフロントサブフレームの一番低いポイント・ジャッキアップポイントと、ほぼ同じ高さになってしまうのが分かると思います。

前には、
画像のような純正じゃないドレンプラグで、エンジンマウントがヘタってエンジン自体が下がっていた状態で、走行中段差に下廻りをヒットさせて、アンダーカバーを潰し、ドレンプラグの突き出した部分も引っ掛かけて、ドレンプラグがもげかかってオイルパンも歪み、結果エンジンオイルがジャージャーに漏れた、
という事例が実際に有りました。

なぜ純正のドレンプラグが、わざわざ『低頭六角穴付きボルト』を採用しているかと考えれば、上記のようなトラブルを防ぐために、オイルパンの最下面より引っ込めるためでしょう。
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では反対に、前のだれかが何の理由もなくこのドレンプラグを違う物に替えたのかというと、そういうこともないんじゃないかと思うんですよね。

と言うのも、純正ドレンプラグは、工具を差し込む六角穴部とネジ部の間の肉厚があまり有りません。
なので、オイル交換のたびにドレンプラグを何回も脱着していると、ネジの根本の部分(下画像のオレンジ線あたり)にクラックが入りやすく、クラックが入れば六角穴の内側からオイルがジワジワ漏れます。
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たぶんそういうことがあって、ドレンプラグを一般的なものに替えたのでしょうね。
上記画像右の一般的なドレンプラグならそのようなクラックは入りませんからね。
(ドレンプラグからのオイル漏れに気付いた点は褒めましょう笑)

ただし、車両全体構成を考えればこの判断はアウトです!


と言うことで、リアルテックではRX-8後期の新品純正ドレンプラグを常時在庫しており、
後期オイル交換時にドレンプラグを外したら、ネジ部のクラックチェック、怪しかったり問題があれば、新品純正ドレンプラグに交換します。

シャコタンにしている人は特に気をつけてね。一発でエンジン破損も考えられますからね。

RX-8あるある 大きな段差乗り上げた時のリアからの異音の修理。

原因は、ノーマル・リアダンパーのバンプストッパー(バンプラバー)劣化。
劣化して~ほとんどが千切れて~ダンパーがオーバーストロークして~ダンパートップとアッパーマウントの内側が当たって、ゴン!とかゴトッ!と音がします。

本日もバンプストッパー交換。
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新品と外したものを比べるとこんな感じ。
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リアルチェックではここは必ず見てますが、6~7万キロも走ってる車両は、ここまででないにしろ、だいたい半分はなくなってます汗

変質してカスカスになってるので、触るとボロボロに崩れちゃいます。
ショック側にもへばりついてるし。
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ダンパーのスプリングシートと、ラバーブッシュも交換して、快適性を取り戻しました。
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ちなみに、前期の途中からダンパートップに白いプラスチックカバーがつきました。(上記画像のは付いてません)
たぶんこのケース干渉音を防ぎたいためかと思いますが、結局バンプストッパーが劣化して(設計値より)オーバーストロークしまうと異音は発生してしまいます。

だいぶブログの間が空いてしまいましたが、筑波分切りエンジンの作業も進んでおります。

今からちょっと前、まだ気温が上がる前の話ですが笑、各部クリアランス調整。
調整時は、調整前日から室温を20℃にしっかりあわせて、測定物・測定器をその温度に馴染ませてから一気に行ないます。

タフブラックコーティングを施した、ローターとステーショナリギアにそれぞれ軸受けメタルを圧入して、エキセンのジャーナル部分とのクリアランス調整。
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ローターメタルは、一発で狙いの数値に入りましたが、ステーショナリギアのメインメタルのリア側が、難儀しました。
ダミーメタルを突っ込んで、基準値を出して、そこから割り出した寸法のメタルを圧入して、測定。

2点測定・3点測定どちらの測定数値を何回見ても・考えても、どうしても3ミクロンほど内径が小さくて気に入らない。
よくある話です。苦笑
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(確認ですが、1ミクロン=0.001mmです。)

1サイズ薄いメタル入れたらOKでしょ!って、せっかく入れた新品メタルを抜き替えて再度測定したら、
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おい、1ミクロンしか変わらないじゃん!(まあ、そんなこともよく有ります)

もったいないけど、もう一回、さらに1サイズ薄いメタルに交換して、測定すると、
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これで完璧!
1個5,000円オーバーのメインメタルを2個パーにしてしまったので、この作業の赤字は決定しましたが、気に入った数字になったのでOK!
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お次は、ローターの幅にあわせて、ローターハウジングを選別。
いい感じの最終3候補から、絶対値とバランスの良い2枚を選出しました。
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フロント用、リア用と選んだら、分からなくならないように、フロントローターハウジングにエンジンマウントブラケット用のスタッドボルトを取り付けます。
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一応マーカーでFとRのように識別マーキングしますが、組み立て前にもう一回洗浄するので、マーキング消えても分かるようしときます。

最後は、ガスシールのクリアランス調整。
ローターにあわせて、アペックスシール、コーナーシール、サイドシールを合わせていきます。
ローターの各シール溝内にもタフブラックコーティングがしっかり乗っかってるんで、溝内の確認して、シール調整も慎重に行ないましたが、コーティング前の下処理をしっかり行なってましたので、調整はスムーズに出来ました。
各シールすべてに溝番号をマーキングして、専用のシールケースに入れて組立まで保管します。
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これでクリアランス調整関係は完了。

RX-8筑波分切りエンジンは、コーティングに出していたパーツが仕上がって戻ってきました。

今回もコーティングは、ロータリーエンジンではうちでしかやってないタフブラック・コーティング。
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どうよ。この黒い輝き!
これでフリクションロスを低減させます。

タフブラックは表面だけでなく母材に浸透するコーティングなので、擦れてもコーティングが剥がれませんので、効果長持ちです。
うちでは、画像のパーツ全部で基本セット。

検品後は、ローターとステーショナリギアにメタルを圧入して、軸受けオイルクリアランス調整に入ります。
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