ロータリーエンジン研究所・REAL-TECHのRE的ブログ

茨城県下妻市にあるロータリーエンジン専門店『REAL-TECH』(リアルテック)のロータリーエンジンに特化したRE的ブログです。 RX-7・RX-8など、マツダ・ロータリーエンジン搭載車のメンテナンスやチューニング、セッティングが本業ですが、代表のハマグチは、『ロータリーエンジン研究家』としても活動しており、ロータリーエンジンの過去・現在・未来について日々研究しており、各媒体にRE関連記事の寄稿もしています。 また、RX-7やRX-8のデモカーを用いてロータリーエンジンの高効率の追求も行っており、REのパフォーマンスを高めるためのパーツ・専用オイルなども製作しています。 このブログでは、日々のリアルテックでの作業や、ロータリーエンジンやRX-7・RX-8などのRE車のウンチクも書いてます。

RTオイルをご検討の方はこちらをお読みください

よく聞かれる おすすめのRTオイル
http://realtech.livedoor.blog/archives/6537489.html

エンジンオイル交換時のオイル使用量
http://realtech.livedoor.blog/archives/16377797.html

カテゴリ: ロータリーエンジン

ジャパンモビリティショーに行ってきました。

もちろんお目当ては、今回マツダが発表したコンセプトスポーツカー、
MAZDA ICONIC SP
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とその前の日の水曜日プレスデイ初日、朝9時15分から始まったマツダのプレスカンファレンス。
カンファレンスが始まる前までは、ティザー画像でテール側だけ出ていたコンセプトカーはてっきり次期ロードスターコンセプトだとばかり思っておりましたが、
いざコンセプトカーのアンベールという時の後ろに流れる映像で
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ローターが映り、完全に思考回路が止まりました。
そしてアンベールして毛籠社長からの2ローター・ロータリーEV搭載のスポーツカーとアナウンスがあった時には椅子からひっくり返るほど度肝を抜かれた。
全くの予想外だった…。

その水曜日は定休日ですがどうしても仕事から手が離せなかったので、行きたい気持ちをぐっとこらえまして、予定通り木曜日の朝からビッグサイトに向かいました。


いの一番にマツダブースに向かい、間近で見るアイコニックSPはとにかく美しい…。
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こんなにぱっと見の一見から心を奪われるクルマは本当にすごい。
まさに一目ぼれってやつですね。

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ブースでお会いする広報さんたち皆さんに、『今回のジャパンモビリティショーはマツダが優勝!』とさんざん言ってきました。笑

そのくらいのインパクト。

そして、タイミングよくカメラマンの麻生さんの撮影枠に便乗させてもらい、アイコニックSPを間近で見ることが出来ました。
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当日はたくさんのマツダの方々とお話ししてきました。
都合5時間くらいはマツダブースに居たかも。
(ICONIC SPの予約票を探しましたけど見つけられませんでした…笑)

デザイン本部長の中山さんからは、『おっ変態来たね』と言われるのはいつもの通りですが(※知っている人も多いと思いますが、マツダで『変態』というのはお褒めの言葉です)、
今回このアイコニックSPのデザインをリードされた岩尾さんと初めてご挨拶させていただき、このアイコニックSPのデザインやマツダのデザイン理論などについてかなり長い時間お話を聞かせていただきました。
大変勉強になりましたし、RX-7・FDやICONIC SPがパッと見て、美しいとかドキドキワクワクする理由が理解できました。

とにかく岩尾さんのお話し聞いてると、マツダのデザイナーさんたちって熱心でマジ変態です。笑
細かいとことすべてに意味があるしすごく考えたうえで作り上げてきている。
賞賛しかありません。

あと、この特徴的で美しいドアの開き方の名称はまだ完全にこれというちゃんとした正式名称がないとのことで、今後かっこいい名称を命名してくださいとお伝えしました。
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エコ、エコと世界中で声高に叫ばれ、車を楽しむということが二の次三の次な車作りを強いられがちななか、電動化の中でも操ることの楽しみやワクワクする気持ちを大切にするこんな素晴らしいコンセプトカーを出してくるところが、実にマツダらしい。
マツダファンであることに誇りを持てます。

このICONIC SPを実現するには、マツダだけの頑張りだけでなく、この車が欲しい・乗ってみたいという皆さんの応援が必要かと思います。

発売するとなると、多くの課題があると思いますし、ロータリーエンジンも駆動もするのか・発電のみになるかどうなるか分かりませんが、発売までは妄想フリー。
みんなで大いに妄想しましょう。

自分的にはこのローターの形状が非常に気になってまして妄想が膨らみます。
-chv6qd

自分もこんな素敵なクルマが自分のクルマになることを夢見ながら、これからもマツダを支持と応援をしていきます。

だいぶ時期がズレ込んでいますが、BAR11号用のRX-8後期サイドポート拡大加工エンジンがようやく完成。
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これまでノーマルエンジンのまま各地のサーキットで記録を出してきたBAR11号も、いよいよエンジンを載せ替えて筑波サーキット分切りに挑戦です。

ポートのスペック的にはこれまで出荷しているエンジンと同じスペックですが、いろんなところをギリギリまで攻めて作りました。

そして、これまで作ってきた筑波分切り用エンジンと同じく、ローター、ステーショナリギア、エキセンは、タフブラックコーティング品を投入です。
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黒いのはカーボン汚れじゃありません笑。黒いコーティングです。

今回ハウジングはすべて新品。
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ローターハウジングは入荷時期をずらした6枚から2枚をチョイス。
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測定の結果、最終的に選んだのは新しいロータリーエンジン製造工場で作られた新しいローターハウジングになりました。
測定してみると、新しいハウジングは前よりも精度が上がっていますね。
ベストなチョイスが出来ました。

初の後期レネシスエンジンでの分切りなるか!
期待大です。

エンジンだけでなく車両側も色々とやること多くて、さらにタイムアタックの日取りも決まっているので、かなり、か・な・り焦ってきております。苦笑

これ、オイルフィルターカッターという工具。
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一般的にはフィルターケースをカットして、中のエレメントとケースを分別して廃棄するために使用するものだと思います。

リアルテックでは初見のメーカーのオイルフィルターは、実際に割ってフィルターエレメントを取り出し、フィルター形状など構造を観察するのに使ってました。

そして、ちょっと前からはリアルテックでオイル交換してもらっているお客さんそれぞれのエンジンの汚れの具合、要は鉄粉などの不純物の出方をちゃんと確認するためと、それらの汚れ方の傾向のデータが欲しいので、オイル交換時に外したオイルフィルターは、その場でフィルターカッターで割って中の状況・汚れ具合を確認しています。

カッターで割るとこんな感じです。
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数多くを割ってみると面白いもので、色々なことが分かります。

基本、全く問題のなく使われているエンジンでは、目視でわかるほどの大きさのカス・鉄粉は出てきません。
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ですが、慢性的にオイルを減らしすぎてオイルレベル警告ランプをちょくちょく点灯させていたり、サーキット走行等ハードな走行をする際にオイルレベルを低くして使っていたりしているエンジンは、まあまあ大き目な鉄粉が出てきます。

これは、ブローレベルでかなりひどい状態。
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ロータリーの場合、この大きなカスの大半はエキセントリックシャフト軸受のベアリング(ステーショナリギアメタル・ローターメタル)が流れている(剝がれてる)と思ってもらっていいと思います。

オイルの性能の以前に、これはオイルが少なかったり適正なオイル量を確保できてなくて、油圧が落ちて軸受部にオイルが足りてません。

ランプが点灯するかしないかの状態で、オイルレベルゲージで量を確認すると、こんなに低いんですよ。
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MINレベルよりはるか下です。


エンジンの圧縮圧力が良好でも、この軸受をダメにしたらエンジン全損ですので、街乗りでもサーキットでもオイルの量はできるだけ少ない状態で走るのは避けましょう。

全損なステーショナリギアのメインメタルがこちら。↓
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この状態までくると、アイドリングで油圧ゼロまで落ち、3000回転回しても200kpaまでも上がりませんでした。

例えうちの最強オイル・RT-01をもってしても、油圧がゼロまで落ちてしまっては、軸受を守ることはできません。

※ここから大事なこと※

・オイル警告灯が点灯してから補充すればなんてことは思ってはいけない、
・オイルレベルゲージのMINレベルより下には絶対にしない、
・レベルゲージMINからMAXの間で、最低でもMINから1/3以上は入れておく、
・もしオイルランプが点いてしまうくらい減ったら、銘柄・グレードなんて気にせず直ちにエンジンオイルを補充する、
・サーキット走行時などハードな走行をする場合は、スタート時はオイル量はできるだけ多く入れる、
・全開走行続けるとオイルはまあまあ減るので、走行インターバルなどでゲージ半分を下回らないように補充をする、

などがエンジンを守るために大事だと思います。


例えば、RX-8前期の中盤までの車両で、オイルフィラーパイプからインテークに直接ブローバイホースがつながっている場合は、オイルいっぱい入れてサーキットを走るとオイルが噴き戻してエアフロが汚れエンジンが吹けなくなるという場合があり、それを鑑みてオイルレベルを低めで使っているって人がいると思います。
そんな場合は、純正対策品のベンチレーションキットをつけてください。
オイルをゲージMAXまで入れても噴き返しは起きなくなります。
冬場にエンジンオイルが乳化してレベルゲージにどのくらいオイルが付いているかわからない場合も同様です。
ベンチレーションで乳化ゼロに出来ます。
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ノーマルなFD3Sだと、MAXまで入れると横Gでオイルを噴いてしまう場合は、ゲージ半分よりちょっと上のところくらいでスタートすればさほど噴き返さないと思いますし、一日走る場合は、減りすぎないようにチョコチョコオイル量を点検・補充しましょう。
FDはもしオイルを多少噴き返してもエアフロないしインテーク内にオイルが溜まるだけなので、エンジンを壊すよりは良いと思います。

FD3S・4型までの純正油圧計はあてになりませんし苦笑、
RX-8前期の純正油圧計も実際に油圧がゼロになってもすぐには針が落ちませんので、
うち的にはハードめに走るなら油圧計を付けて欲しいなと思います。

エンジンオイルは、オイルの質にこだわるのも大事ですが、油量を減らしすぎず油圧を保つこともすごく重要です!

現在進行中のRX-8のエンジンOHは、ローター損傷ありのため、前後ともローター交換になりました。
で、新品ローターを使用するわけですが、ウチでは今回から2022年末ごろに稼働したマツダの新しいロータリーエンジン製造ラインで作られたレネシス用新型ローターを使用します。
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そのレネシス用新型ローターは、ローターリセスがこれまでのものとは角の形状が変わってますが、
自動車メーカーが作る補修部品なので、性能に差はないと思います。
(マツダの方からもそう聞いています)

ということで、早速レネシス新型ローターのインプレです。

まず最初に、ローターを選定するときには在庫のローターすべて重量を測って、重量差ができるだけ少なくなるように前後揃えます。
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新型ローターの重量は、一番軽いローターと一番重いローターの差が25g。
ただ8個中6個の差は10g以下なので、前よりも重量のばらつき少ない感じ。

ローター幅は、1ローターあたり3か所×8ローター分測った限りでは、最大で20ミクロン差くらいなのでばらつき少ないです。
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このローター幅を基にこの後ローターハウジングを選定します。

エンジンを作るとき、うちでは新品でも中古でもローターは各部面取りや修正などを行いますが、この新型ローターは以前のものよりもバリが少ない感じ。
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さらにシール溝内の表面の仕上がりも綺麗です。
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シール溝は表面の仕上がりだけではなく、アペックスシール、コーナーシール、サイドシール溝すべて、ばらつきが少なく、精度が上がってるように感じますね。

2ローター分で12か所あるコーナーシール溝の内径の差は4ミクロンほどで、以前よりも1/3くらい。
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サイドシール溝は、各所それぞれに溝長さランクがあり、前期は16ランク、後期は(補修用も)20ランクに長さで分けられますが、
新型ローターはこれまでのローターに比べ、1ローターあたりの溝長さランクが6か所近しいランクで揃っている感じです。
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結局のところ、新型ローター良い感じ、ということです。

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新型ローターのガスシール調整もこれにて完了。

発売から時間が経ってしまいましたが、新型ロータリーエンジン8C型について寄稿したマツダファンブックが発売になっております。
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濱口の肩書は、久々のロータリーエンジン研究家。
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ページを開くと圧倒されるのは、ドカンと大きく掲載されるほぼ実物大の8Cローターかと思います。
この写真は僕が撮ったもの笑

このページのレイアウトデザインしたのがRX-7マガジン元編集長・古川さんと言われれば、
確かにこれぞ古川デザインって感じですね。
実際の大きさを感じてほしいとのことでしょう。

実際に13Bと同じディメンションの10Aローターと並べてみました。
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ローターをお持ちの方は並べたり上に重ねてみたりして、その大きさを実感していただければと思います。

取材時には実際に8Cローターを持たせてもらって、重量感や各部の細かいところも時間の許す限りマジマジ見てきました。

もしかしたら、マツダのRE開発・生産関係者以外で、社外の人間がこの8Cローターを持ったのは自分が世界初かも。
(取材時に開発者の方に、普通こんなにローターをベタベタ触る人はいないって言われました。やりすぎたかな笑)

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